ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

遼東半島の先端老鉄山灯台

f:id:shashosha70:20160808123127j:plain

(写真1=灯台から黄渤海を望む)
渤海と黄海との分界線
 このたびの大連滞在中には遼東半島の突端に出かけた。
 遼東半島とは、中国遼寧省の南部、渤海と黄海を分かつように突き出ていて、山東半島と対置している。かつて、満州国があった時代、日本が関東州といって支配していたことがある。
 遼東半島の南端が大連で、さらにその最南端が旅順ということになる。ともに素晴らしい港があって、昔も今も大連は貿易港であり、旅順は軍港として栄えている。
 大連から旅順へはかつては鉄道が通じていたが、2年前に廃止になったとのこと。このたびは、大連に進出している日本企業の方の車で203高地や軍港を案内していただいた。ただ一つ私が希望を述べたのは最先端まで行ってみたいということ。

f:id:shashosha70:20160808123309j:plain

(写真2=老鉄山灯塔のゲート。ここから岬の先端まで園地となっている)
 一直線に向かったわけではないので時間は計りにくいが、大連からおよそ1時間半ほどか。途中、サクランボなどの路地売りを見ながら脊梁の先端へと細い道を登っていくと、老鉄山灯塔という大きな門があった。老鉄山岬だが、一帯は老鉄山公園になっているらしく入場料は20元。
 坂道を登っていくとほどなく灯台に。中国で灯塔は日本の灯台のこと。白く太くがっしりした灯台だ。中国語表記だが、塔の高さは14.2公尺(日本でいうメートルのこと)、外径は6公尺とある。灯台の概要説明に灯塔の太さまで説明してあるのは日本ではないことだが、しかしこれはいい。鉄製のようだ。1892年の建造で、フランスが設計製造してイギリスが建造したとのこと。
 また、灯台は海抜86.7メートルの高さにあるとのことだが、なるほど見晴らしがいい。眼前遮るもののない大海原である。いつもの私流の表現なら両手を広げて余るほどだから200度もの眺望か。
 なお、ここは渤海と黄海を分かつところ。渤海は遼東半島と山東半島に囲まれたところで、黄海はその外側と朝鮮半島に囲まれたところといえる。中国は大きな国土だが、海岸線の長さはさほどでもなく、といっても日本列島が南北にすっぽり入って大きく余るほどが、半島も大きなものはさほど多くはない。中国の半島で大きさは山東半島が第1位、遼東半島が第2位というくらいである。
  遼東半島と山東半島は、直線距離で120キロほどか。この間を渤海海峡あるいは老鉄山水道というらしいが、この二つの半島が渤海と黄海を分断していて、老鉄山岬の先がちょうど分界線となっている。
 大陸から海へと流れ込むせいか渤海は黄色っぽく見えて、青い海の色のままの黄海とはくっきりと分かれて見えるらしいが、この日は潮の流れがよくなかったのか私にはその違いは分からなかった。いかにも奇観と言うことで、黄渤海分界線景区として人気になっている。
  なお、これも中国語表記だが、この岬の先端で(つまり灯台の位置ではないということらしい)、座標は東経120度44分33.3秒、北緯37度49分50.2秒となっている。経度から先に標記するというのも日本にはないやり方だが、それはともかく、緯度としては日本の牡鹿半島のほぼ先端に相当するようだ。

f:id:shashosha70:20160808123435j:plain

(写真3=眼前に広がる大海原。渤海と黄海の分水界にあたるが、ガスが張っていたのと潮の流れが悪かったのか、この日は生憎とその違いは分からなかった)