ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

北京から大連へ鉄道旅

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(写真1=北京南駅7番線で発車を待つ大連北駅行き高鉄列車和諧号)

高鉄で842キロ5時間
 先日の中国旅行では、北京からの帰途は大連に寄った。北京から大連へは高鉄(高速鉄道)を利用した。
 高鉄は中国自慢の新幹線鉄道網で、2007年に運行が開始されてから急速に拡大され、ちょっと古いデータだが2010年の時点で日本を抜いて8000キロを超したといわれ、2015年には25,000キロに達する計画だといわれる。日々刻々と変わってきているからわかりにくいが、猛烈な勢いで伸びてきていることは間違いない。
 6月15日、北京南駅。高鉄網の拡大に伴い拡張された新駅で、北京市街中心の南、天壇公園に近く、西単の通りをまっすぐ南へ下ったあたりに位置する。
 中国の高鉄駅は上海も南京もどこも皆大きいが、この北京南駅も巨大。発車ホームが24番線まで一列に並んでいる。壮観である。中央部分が巨大な空間となっていて、多数のベンチが置かれており、多数の飲食店もある。中国人好みのケンタッキーフライドチキンやスターバックスコーヒーなどもある。
 駅構内に入場するには手荷物検査がある。切符はあらかじめ購入しておいたので窓口の状況はよくはわからないが、さほど混んでいるようでもなかった。

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(写真2=大変賑わっている北京南駅のコンコース。24番線まである巨大な駅)
 改札は列車単位。これは高鉄の常で、自動改札なのだがここでパスポート検査も行われる。発車20分前になって改札が始まった。私の列車は7番線からの発車。
 切符にはたくさんの情報が印字されている。左肩に乗車券番号。これだけが赤の印字。右肩に発車番線。次に北京南→大連北の行き先表示。列車番号はG387とある。発車年月日時間のほか、号車番号と座席番号。私は3号車07Eとある。二等座(2等車)で400元(約7200円)。最後にパスポート番号の一部と姓名の一部まで印字されている。
 ホームに降りたら列車はすでに入線していて、車両は中国高鉄の大半がそうであるようにCRH形で、愛称は和諧号。3号車は普通車で、2+3列のシート配置。外観も車内も日本の新幹線に似ているが、それもそのはずで、JR東日本が技術供与した。
 定刻8時25分、ベルも鳴らずに滑るように列車は出発した。列車は満席。私の席は進行左側、2列席の窓側である。隣は若い女性で、この女性がものすごいニンニクの強い臭いがした。通路を挟んだ女性と連れらしいが、我慢していた。
 発車7、8分で市街地を出て農地が広がってきた。大半が畑地で、沿線にはどこまでも白楊(日本の柳とは違う)の木が延々と連なっている。中国ではどこでも見かける風景だが、白楊は暑さ寒さに強く、炭酸ガスをよく吸収するらしい。
 どこまで行っても平原で、車窓に変化は乏しい。同じような風景が延々と続く。時折高層アパート群が現れると都会である。
 9時01分最初の停車駅天津西。日本もそうだが、中国も高鉄は新線や新駅なので、郊外に駅ができている場合が多いようで、従ってこういう名前が多くなる。天津はさすがに大都会で、大勢の人が乗り込んできた。
 1時間半も走ってやっと山(丘かもしれない)が見えてきたと思ったら、そこから少しして10時12分秦皇島着。車窓からは実際には見えなかったが海に出たわけである。渤海である。ここは原子力発電所のあるところだが、それらしき姿は見えなかった。
 ここからは渤海から遼東湾へと沿岸部を北上していくはずで、続いて10時40分山海関着。万里の長城はここで海に没する。かつて来たことがあるが、長城は海に入り込んでまだなお築かれていたことに驚いたものだった。中国人の徹底ぶりであろうか。ここまでが河北省で、ここからはいよいよ遼寧省となる。
 列車のスピードは最高速度に305キロと出ていたが、平均するとせいぜい250キロ程度か。ところどころ単線区間もあるようだ。12時頃になって田んぼが見えてきた。
 いつしか遼東湾を回り込んでいたようで営口12時37分着。ここまで来れば大連はもう近いはず。
 高鉄の北京-大連間は、当初は省都瀋陽を経由していたために路線距離が1000キロを超し、所要時間も9時間を超していたものだったが、3年前に瀋陽を経由せず遼東湾を回り込むようにショートカットする新線が建設され、現在は842キロと大幅に短縮された。
 そうこうして大連北13時27分着。この路線中で最速の列車だったのだが、所要時間は北京からわずかに5時間2分だった。やはり高鉄のために建設された新駅で、はなはだ立派。大連の北部に位置し、中心街へは地下鉄が通じている。

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(写真3=大連北駅外観。高鉄開業に向けて新設された)