ABABA’s ノート

旅と鉄道、岬と灯台、読書ときどき映画あるいは美術に関するブログです。

菅野美術館(宮城県塩竃市)

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(写真1=美術館外観。エンボス加工が独特だ)

「小さなカテドラル」
 宮城県塩竃市所在。東北本線塩釜駅から、駅の裏手の小高い丘の中腹にあった。なかなかきつい坂で、住宅街の中を右に折れ左に折れてたどり着いた。徒歩10数分。
 建物がユニークだ。まるで茶色い四角い箱のようだ。外壁の表面に凹凸がある。エンボス加工されているからてっきりプラスティックかと思ったが、どうやら薄い鉄板(コールテン鋼)らしい。調べてわかったが、エンボス加工された鉄板を背中合わせに2枚重ね、突起部分を溶接して構造部材としたものらしい。また、このエンボス加工は内壁も同様で、ただし、こちらは木材の加工品のようだった。設計は阿部仁史。設計者はこの建物を「小さなカテドラル」だと表現している。
 菅野美術館は、個人のコレクションを展示するために設立された私設の美術館。2006年の開館。
 コレクションは彫刻作品のみ8点だけ。美術館はこのあらかじめ定められた作品を展示するためにそれぞれの空間が設定されているという具合のようだった。
 順路は階段を降りていくように仕組まれている。初めにヘンリー・ムーア「ヘルメットの頭no.6」。鋭く切り取った断面となっており、そこに内在物があって、それは胎児のようにも思えた。
 次に気にとめたのはエミリオ・グレコ「ルチアリア」。女性が両手で頬杖をついている像で、憂い顔に存在感がある。ブロンズなのだが、衣服の表面が網で型押ししたような模様になっているのが面白い。
 独特の雰囲気を発散させて目を離せなかったのはジャコモ・マンズー「枢機卿座像」。小さな作品で、しかも細部の体裁にこだわらない作り方のようだが存在感が大きくていかにも枢機卿らしい。
 ほかにはオーギュスト・ロダンの「カレーの市民、ピエール・ド・ヴィッサンの右手」など。
 来訪者記帳ノートを見たら、建築関係者が多いようで、なるほどと思われた。

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(写真2=館内で唯一撮影が許された窓辺からの風景。眼下に塩釜市街が一望できる)